Media

コラム・記事

【AX/DX】建築・建設業が生成AIを導入するなら?導入支援の実例と業者選びの方法

【AX/DX】建築・建設業が生成AIを導入するなら?導入支援の実例と業者選びの方法

『社内で「うちでもAIを使えないか」という話は出たが、誰が何から手を付けるのか決まらない』 『現場は今日の工程で手一杯で、試す時間が取れない』

2024年4月から時間外労働の上限規制が建設業にも適用され、こうした状況に悩む建設会社の方も多いのではないでしょうか。

本記事では、建設業で生成AIの導入が止まりやすい理由と、最初に着手すべき業務、その前に決めておく社内ルール、外部の支援会社を選ぶときの比較ポイントを解説します。

なお、HiroshimAI株式会社では、建築・建設業に強いAX支援・生成AIの導入支援を行なっております。現場の課題に合わせた、最適な形でのAXをご提案できますので、検討している方はぜひ一度ご相談ください。

まずは無料で相談する


建設業で生成AI導入が進まない理由

導入が進まない原因を「現場のITリテラシーが低いから」で片付けてしまうと、対策を誤ります。実際には、建設業という業態の構造そのものが、汎用的なAIツールの導入と相性の悪い部分を持っています。ここを理解しないまま製品選定から始めると、契約はしたが誰も使っていない、という結果になりがちです。

まず、業務の起点が現場にあります。本社で決めたルールが、そのまま現場の手順になるとは限りません。次に、情報の流通経路が分散しています。紙の図面、現場ごとのチャットグループ、協力会社とのFAX、担当者個人の携帯電話が、すべて並行して動いています。そして、IT専任者が社内にいない企業も少なくありません。導入の旗振り役が総務や経理の兼務になり、通常業務に追われて検証が止まることがあります。

結論として、業務フローを整理しないままツールを入れる進め方は、建設業では特に失敗しやすいといえます。

現場が使わない3つのパターン

導入が止まるケースには、よく見られる型があります。

1つ目は、現場の業務と乖離したツール選定です。 機能の豊富さや価格で選んだ結果、日報作成や写真整理といった現場が本当に時間を取られている作業には手が届かない、という状態になります。導入の目的が「AIを使うこと」にすり替わっているときに起きやすい失敗です。

2つ目は、教育と定着支援の欠如です。 アカウントを配って操作マニュアルを共有すれば使われる、という前提は成り立ちにくいものです。生成AIは検索ツールと違い、指示の出し方によって結果の質が大きく変わります。自分の担当業務でどう使えるかを体験する機会がないと、利用が続かなくなりがちです。

3つ目は、情報管理ルールの未整備です。 「何を入力してよいのか分からないので使わない」という判断は、現場としてはむしろ正しい対応です。ルールがないこと自体が、利用を止める要因になります。

建設業ならではの注意点(図面・下請構造)

建設業には、他業種にはない固有の論点が2つあります。

ひとつは機密情報の取り扱いです。図面、工事写真、見積の根拠資料、発注者との協議記録には、他社に出せない情報が含まれます。入力した内容が学習に利用されるかどうかは、生成AIのサービスや契約形態によって扱いが異なります。契約形態と設定を確認しないまま全社に広げると、情報管理上の問題につながりかねません。

もうひとつは下請・協力会社への展開です。元請の社内だけで完結する業務は限られており、効果を出そうとすると協力会社を巻き込む必要が出てきます。しかし、他社の従業員に自社のルールを強制することはできません。どこまでを自社内で閉じ、どこから先を協力会社と合意するのかを、導入の設計段階で決めておく必要があります。


建設会社が生成AI導入で最初に整えるべき業務

止まる理由が分かったところで、具体的にどこから着手するかの話に移ります。ここで重要なのは、対象を絞ることです。全社一斉に導入しようとすると、調整だけで数ヶ月が経過し、その間に現場の関心が薄れがちです。効果が見えやすい業務をひとつ選び、そこで成果を出してから広げてください。

目安になるのは、日報、安全書類、発注者への報告書のように、毎週書き、型があり、毎回少しずつ内容が変わる書類です。こうした書類づくりは、生成AIとの相性が比較的良い傾向があります。

書類・見積・報告書の効率化

建設業で最初の対象になりやすいのが、文書作成業務です。

日報や工事写真の説明文、施工計画書のたたき台、安全書類の下書き、発注者への報告書といった業務は、いずれも一定の型があり、かつ毎回ゼロから書き起こしている場合が多い領域です。過去の類似案件の文書を参照しながら下書きを作る作業は、生成AIが比較的得意とします。ただし、作業員名簿のように個人情報を含む書類は、氏名などを伏せてから入力するといった取り扱いを先に決めておく必要があります。

見積についても、金額の算出そのものではなく、仕様の読み取りや、見積条件の文章化といった周辺作業から着手する方法があります。いずれの場合も、最終的な内容の確認は人が行う前提で設計してください。

現場コミュニケーション(LINE・チャット)との連携

現場がすでに使っているツールと切り離した仕組みを作ると、定着しにくくなります。

多くの建設会社では、LINEなどのチャットで作った現場ごとのグループが、実質的な連絡網として機能しています。ここに新しいアプリを追加するのではなく、既存のツールから使える形にできないかを先に検討する価値があります。

支援会社に相談する際も、既存ツールを残したまま組み替える選択肢を含めて検討してもらえるかを、提案の段階で確認しておくと判断しやすくなります。

導入前に決めておくべきセキュリティルール

利用を始める前に、最低限これだけは決めておきたい、という項目を挙げます。

  • 入力してよい情報と、禁止する情報の区分
  • 利用してよいサービスと、業務利用を認めないサービスの指定
  • 利用する端末とアカウントの管理方法
  • 生成された内容を社外に出す前の確認手順

最初から厳密な規程を作り込む必要はありません。まずはA4で1枚、現場が読んで分かる粒度のものを用意し、運用しながら整えていく進め方が現実的です。情報セキュリティ全般の考え方については、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」が参考になります。


建設業向け「生成AI導入支援」を選ぶときの比較ポイント

外部に相談すると決めた場合、次に問題になるのが相談先の選び方です。「AI導入支援」と名乗るサービスの中身は、実際にはかなり幅があります。ツールの販売代理店、研修事業者、システム開発会社、経営コンサルティング会社が、それぞれ異なる立場から同じ言葉を使っています。

大きく分けると、パッケージ製品やSaaS(インターネット経由で利用するソフトウェア)を提供する形と、業務整理から定着までを伴走する形の2つです。前者は導入までが早く、費用も見通しやすい一方、自社の業務フローに合わせる作業は自社で担う部分が多くなります。後者は時間と費用がかかりますが、何を変えるかの設計から一緒に進められます。

どちらが優れているという話ではなく、自社の状況に対してどちらが必要かを見極めることが重要です。判断の材料として、確認しておきたい項目を整理しました。

比較軸 確認ポイント
建設業の理解 現場・下請構造・書類フローを理解しているか
支援の中身 ツール選定だけか、業務整理と定着支援まで含むか
開発の有無 システム開発を含むか。含む場合、見積の段階で費用と期間が示されるか
研修・定着 現場向けの対面研修があるか
地域・対面 自社の拠点まで足を運べる距離か
料金の透明性 月額かプロジェクト型か、何が料金に含まれるか
セキュリティ 導入前のルール策定を支援範囲に含むか

このうち特に見落とされやすいのが、「開発の有無」の項目です。

施工管理アプリとの連携は「開発」にあたるか

建設会社では、施工管理アプリや写真管理のシステムをすでに使っている現場も多いはずです。生成AIをこうした既存システムとつなごうとすると、多くの場合は開発作業が必要になります。ところが提案書の段階では、助言だけのサービスも、システムを作るサービスも「AI導入支援」と表現されることがあり、契約後に「連携は範囲外だった」と分かるケースがあります。

確認すべきは、提案されている内容のうち、どこまでが助言で、どこからが開発の成果物なのかという線引きです。見積書の内訳と、契約書の業務範囲(別紙や仕様書を含む)を照らし合わせて確認してください。「必要に応じて対応」といった記載がある場合は、その対応が費用に含まれるのかを明示的に確認することをおすすめします。

参考までに、当社のAI顧問は、経営に伴走する相談役として助言を提供するサービスです。実装作業やシステム開発はAI顧問の業務範囲に含めていません。実装が必要な場合は、別途お見積りのうえ受託開発として切り分けています。範囲を曖昧にしたまま進めると、双方の期待がずれるためです。

方針の整理や相談相手が必要な段階ならAI顧問、現場に使い方を広げる段階ならAI研修が向いています。支援の範囲を確認したい方は、下記のサービス内容をご覧ください。

支援の範囲を確認したい方へ AI顧問サービスの詳細 / AI研修サービスの詳細


伴走型コンサルに依頼する場合の進め方(標準フロー)

実際に支援を受ける場合、どのような流れになるのかを把握しておくと、提案を受けたときに比較しやすくなります。以下は一般的な進行の型です。支援会社によって名称や区切り方は異なりますが、大枠はおおむね共通しています。期間は、社内の意思決定の速度や対象業務の複雑さによって変わります。

STEP1 現状ヒアリングと優先業務の特定

最初に行うのは、業務の棚卸しです。どの業務に誰の時間がどれだけ使われているかを洗い出し、着手する業務をひとつ選びます。この段階では、AIを使うかどうかをいったん脇に置いて、業務そのものの非効率を見る方が有効です。結果として、AIではなく手順の見直しで解決する項目が見つかることもあります。

STEP2 小さく試す(PoC)と効果測定

対象を決めたら、PoC(本格導入の前に、効果を確かめるための小規模な試行)として限られた範囲で試します。参加者と期間を区切って始めると、判断がしやすくなります。ここで重要なのは、始める前に「何をもって良しとするか」を決めておくことです。作業時間の短縮でも、書類の差し戻し回数の減少でも構いませんが、測れる形にしておかないと、続けるかどうかの判断ができません。

STEP3 現場研修とルール整備

試行で手応えが得られたら、対象者を広げます。この段階で必要になるのが研修と、先に触れた社内ルールの文書化です。研修では、一般的な使い方に加えて、自社の実際の業務に近い題材を扱えると効果が出やすくなります。自分の仕事で使える実感がないと、研修の直後は使っても定着しにくいためです。

当社のAI研修は対面とオンラインの両方に対応しており、全11時間のプログラムと、研修後3ヶ月間のチャットフォローを設けています。事前ヒアリングで業種や現場の課題を伺い、自社の書類や業務を題材にしたカリキュラムに調整します。

STEP4 定着支援と改善サイクル

導入後は、使われ方を定期的に確認します。想定していなかった使い方が現場から出てくることもあり、それを吸い上げて横展開する仕組みがあると、効果を広げやすくなります。逆に、使われなくなった機能があれば、原因を確認して手順を見直してください。


建設業で取り組みやすい生成AIの活用の型

建設業で取り組みやすいのは、書類作成の下書き、過去案件の情報検索、議事録の整理、社内問い合わせへの一次回答、協力会社向け資料の作成といった領域です。いずれも、判断そのものを任せるのではなく、判断の前段にある作業を減らす使い方が中心です。

なお、効果を数値で示した記載を見かけた場合は、その数値の対象期間と算出条件を確認することをおすすめします。条件が異なる数字どうしは、そのままでは比較できません。


まとめ|建設会社が生成AI導入支援を検討するときのチェックリスト

最後に、この記事の要点をチェックリストの形で整理します。

  • 導入の目的が「AIを使うこと」ではなく、特定の業務課題の解決になっている
  • 最初に着手する業務をひとつに絞っている
  • 入力してよい情報と禁止する情報を、文書で決めている
  • 現場がすでに使っているツールとの関係を検討している
  • 支援会社の提案について、助言と開発作業の線引きを確認している
  • 効果を測る指標を、始める前に決めている
  • 協力会社へ展開する範囲を、あらかじめ想定している

このうち、社内だけで進められるのは上から3項目です。業務の棚卸しと、入力ルールの原案作成は、外部に依頼しなくても着手できます。

一方、4項目目以降は、判断材料として他社の事例や技術的な選択肢の知識が必要になる領域です。ここで手が止まっているようであれば、外部への相談を検討する段階にあるといえます。

現場の書類やルールづくりから、ご相談ください HiroshimAI株式会社は広島を拠点に、業務の整理から現場への定着まで、企業のAI導入を支援しています。

  • 自社の書類や業務を題材にした、対面でのハンズオン研修(全11時間)
  • 研修後3ヶ月間のチャットフォロー
  • 開発作業を含まない相談役としてのAI顧問(月10万円から・税別)

現場の書類やルールづくりから相談したい方は、下記よりお気軽にお問い合わせください。

まずは無料で相談する HiroshimAI株式会社へのお問い合わせはこちら

AI活用のご相談は、お気軽に。

記事で扱ってほしいテーマも歓迎です。

お問い合わせ・無料相談